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保育園卒園後の“働きづらさ”に光を―AnyMaMa調査が示す、働く母の“次の壁”とその突破口

保育園卒園後の“働きづらさ”に光を―AnyMaMa調査が示す、働く母の“次の壁”とその突破口

株式会社アンダースタンド(本社:東京都渋谷区、代表取締役:門田次郎)は、子育て中の女性向けキャリア支援サービス「AnyMaMa(エニママ)」の登録者を対象に、「働きたいママの意欲と現実」に関する独自調査を実施しました(調査期間:2025年6月13日〜25日、有効回答数:134名)。

本調査からは、就労意欲と実務経験を兼ね備えた女性たちが、「制度の隙間」に取り残されている現実が明らかになりました。とくに、「保育園卒業後=働ける」というこれまでの前提が崩れていること、そして「短時間×在宅×柔軟シフト」が整えば、即戦力としての稼働が可能な人材が多く存在することが浮き彫りとなりました。


調査背景と目的

エニママには、子育て中の女性が専門性を活かしながら「家庭もキャリアも両立したい」という想いをもって登録しているママが多くいます。
彼女たちは「フルタイムや通勤ベースの働き方にはフィットしにくい」という現実的な制約を抱えながらも、就労意欲は非常に高く、現場感覚やスキルを有しています。
今回の調査は、そうした“見えにくい制約”を可視化し、制度設計・採用設計の見直しにつなげていくための基礎データとして実施されました。

調査サマリー:浮かび上がった4つのギャップ

1.希望時給は「1,200〜2,000円台」が多数派
 → 最低賃金+αの「現実的な報酬」を求める声が中心に。
2.未就学児ママよりも“小学生ママ”に働きづらさが集中
 → 学童終了時間・長期休暇・送迎対応など、「新たな壁」が次々と現れる。
3. 未就学児ママよりも“小学生ママ”に働きづらさが集中
 → 学童終了時間・長期休暇・送迎対応など、「新たな壁」が次々と現れる。
4.95%以上が「短時間×在宅×柔軟性」が整えば就労可能と回答
 → 制度ではなく“設計の柔軟さ”が最大の障壁に。
5.「育児経験」で磨かれたビジネススキルの活用が進んでいない
 → マルチタスク、共感力、時間管理など“見えないスキル”が眠ったままに。

トピック①:「希望時給1,500円」は“妥当”な水準

希望時給では「1,201円〜2,000円」を希望する層が65%を占めており、これは令和6年度地域別最低賃金の全国加重平均額(1,055円)*を踏まえると、スキル・経験を有する人材にとって妥当な水準といえます。実際に回答者の多くは、営業事務・人事・マーケティング・ライティングなどの実務経験を有し、「限られた時間でも専門性を活かして働きたい」という意識が顕著です。
(※たとえば、広報資料作成、SNS運用、採用サポート、業務マニュアル作成、データ集計・報告など、単純作業にとどまらない職域を担った経験も多く、自律的に成果を出せるスキル層が中心です。)

トピック②:保育園卒業後が“働けない”本番? 小学生ママに集中する新たな壁

子育て支援制度の多くが未就学児の保護者にフォーカスされる一方で、「子どもが小学生になってからの方が、むしろ就労ハードルが高くなった」という声が目立ちました。

主な理由は以下の通りです:

  学童保育の終了時間が早く、フルタイム勤務との両立が困難
 ・ 長期休暇中の預け先不足
 ・ 宿題・送迎・習い事対応など家庭内ケアの負担増
 ・ 発達支援や不登校等の個別対応が求められるが受け皿が限られている

この結果は、「保育園さえ入れれば働ける」といった従来の前提が、現在の子育て世帯の実情にそぐわないことを示しています。

トピック③:「1日4時間・在宅可・柔軟シフト」で即戦力人材が動き出す

調査対象者の95%以上が「リモートワークや柔軟な働き方が多様化すれば、自分の就労も可能になる」と回答。
「1日4時間程度」「在宅業務」「時間帯選択制」などの条件が整えば、即戦力として働きたいと考える人は多く存在します。現状ではこのような求人が限られており、優秀なスキルを持つ人材が“制度の隙間”に取り残されている状況です。
企業が柔軟な就労設計を行うことで、埋もれた人材の活躍の場が広がる可能性があります。

トピック④:育児で育ったのは「子ども」だけじゃない―見えないビジネススキル

育児に専念している期間にも、子育てを通して培われるスキルがあります。本調査では、回答者の多くが、育児を経た自分自身の「ビジネススキルの変化」について、以下のような能力を強みとして自覚しています。

■ 自覚されている主なスキル

・ マルチタスク力:同時並行で複数のタスクをこなす力
・ 時間管理能力:限られた時間内で成果を出す計画力と実行力
・ 共感力・対人調整力:子どもとのやり取りや保育園・学校・地域との連携により磨かれる対人スキル
・ 冷静な問題解決力:突発的な事象にも落ち着いて対応する力
・ 責任感と粘り強さ:中長期にわたる家庭運営の中で育まれる姿勢

これらは、単なる“家庭内スキル”ではなく、組織運営やチームマネジメント、プロジェクト推進においても有効に機能するビジネス資質です。
特に、「時間に制約があるからこそ、集中力と段取り力が鍛えられた」「子どもの特性に向き合う中で、傾聴力や説明力が伸びた」など、定量評価では測れない力が育っているという実感が多く聞かれました。
“育児ブランク”ではなく“育児経験”として評価する視点が、これからの多様な人材活用の鍵となります。

調査からみえる提言:今すぐ取り組める4つの工夫

1. 「1日4時間」求人の定型化で“あと一歩”を後押し
家庭との両立を重視する人材にとって、「4時間だけなら働ける」という声は少なくありません。実際、今回の調査でも「短時間でも貢献したい」という意欲的な回答が目立ちました。にもかかわらず、求人票にその選択肢が明示されていないケースが多いのが現状です。
まずは“試験導入”として「1日4時間枠」を明記した求人を設計するだけでも、応募層の裾野は大きく広がります。

2. 在宅業務は「切り出し」と「明文化」が鍵
在宅勤務は定着しつつあるものの、「何を」「どこまで」在宅でできるかが不明確なままでは、応募にも躊躇が生まれます。
業務単位でタスクを分解し、在宅可能な業務を明文化することが、柔軟な契約(業務委託や時短雇用)を可能にし、採用の間口を広げる鍵になります。
たとえば、データ集計や広報資料作成など、成果物が明確な業務から在宅化を進めていくのが有効です。

3. 「ジョブ型」×「時間制約人材」で専門性を活かす
プロジェクト単位・成果単位で業務を切り出す“ジョブ型業務委託”は、時間に制約がある人材との相性が非常に高い働き方です。
今回の調査でも、「限られた時間の中でも最大限の成果を出したい」という声が多数ありました。
成果を重視する業務にこそ、ジョブ型導入を。時間ではなく“貢献度”で評価する視点が、優秀な人材の活用につながります。

4. 「育児で培った力」を“職務経歴”に換算する視点を
マルチタスク、共感力、タイムマネジメント──これらは育児を通じて身についた力でありながら、履歴書では可視化されづらい“隠れスキル”です。
「育児経験をキャリアの空白と見なす」のではなく、「育児で得た力を評価対象とする」視点の導入は、多様な背景を持つ人材を「戦力」として迎えるための第一歩です。
企業としては、面接や職務記述の中にその視点を組み込むだけでも、採用における多様性と公正性を大きく前進させることができます。

調査概要

・ 調査対象:AnyMaMa登録ユーザー
・ 調査方法:Webアンケート
・ 実施期間:2025年6月13日〜6月25日
・ 有効回答数:134名
・ 備考:就労意欲が高く、実務経験を有する育児中の女性が大半を占める

属性分布(n=134)

・ 子どもの就学状況:未就学児のみ 21% / 小学生以上あり 79%
・ 現在の就労状況:離職中(育児中)56%/フリーランス・副業 21%/パート 15%/フルタイム 6%
・ 希望する働き方:短時間勤務、在宅、柔軟なシフトを希望する声が多数

おわりに:多様な人材が活躍できる就労環境の実現に向けて

本調査は、スキルや就労意欲を備えながらも、現行の就業枠組みでは十分に活かされていない人材層の存在を明らかにしました。

特に子どもの成長段階によって就労条件が変化することは、今後の雇用設計において無視できない要素です。
企業・社会全体が「時間」「場所」「働き方」に柔軟性を持たせることは、持続可能な人材確保にもつながります。

エニママは今後も、実態に基づく調査と発信を通じて、企業・行政と連携し、誰もが働きやすい社会の実現を後押ししてまいります。


本件に関するお問い合わせ先:広報担当 pr@understd.co.jp

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